【やってはいけない!こんなキラキラ女子起業1】起業決意編

個人事業や小規模ビジネスのホームページやチラシ制作、ネット集客などのアドバイスをさせていただくようになって、10年ちょっとになりました。
相談に乗った数百人の方々は、職種も年齢もさまざまです。
その中には、順調にお客様も収入も増え、精力的に活動されている方もいますし、残念ながらビジネスを諦めてしまった方もいます。

私は「起業塾」や「集客コンサルタント」などといった肩書ではなく、あくまで「パソコン教室」という看板で仕事をしています。
ですから、ある程度自分のビジネスモデルを構築した上で、それを宣伝・周知する方法を知るために来てくださる方が多いです。
しかし、お話をうかがうと、自分では構築できているつもりのビジネスモデルやコンセプトがまだ曖昧で不十分だと感じる方が少なくありません。
私の経験上、余程の運が無い限り、最初のビジネスモデルやコンセプトが曖昧だと、その後もなかなかうまく行かない方が多いです。

これまでたくさんの起業家さんを見てきた中で、私になりに感じた

  • 成功する人と挫折してしまう人の違い
  • ビジネスを軌道に乗せるためのコツ
  • デキる人の行動パターン・考え方

などを、何本かの記事にしてみようと思います。

「起業家」という職業は無い

ここ数年「起業ブーム」と言われ、「起業家」という言葉があちこちで飛び交っています。
キレイでセレブな雰囲気の「女性起業家」がメディアで取り上げられ、「起業塾」や「起業コンサルタント」の広告がネット上を席巻しています。
「好きなことを仕事にする」「やりたいことだけをやる働き方」といった、キャッチコピーは、自由に生き生きと活躍している自分の姿をイメージさせ、「起業家」への憧れを掻き立てるのかもしれません。

価値観も生き方も多様化する中で、多くの小規模ビジネスが立ち上がって来るのは自然なことだと思います。
消費者も、大量生産・大量消費時代の一律横並びの画一的なサービスではなく、パーソナライズされた「自分だけの」サービスを求めるようになっているのだと思います。
だから、個人起業家はこれからもっともっと増えて行くでしょう。

でも、だからと言って、あなたも起業しなくてはならないわけではありません

いや、そんなことわかってるよ、と思っている人が多いとは思いますが、実は、なぜか「起業しなくちゃ」と焦っている人、とくに女性が結構いるのです。
キレイでセレブな”女性起業家”が主催するホテルラウンジでのお茶会に行って、「私も彼女みたいに輝きたい」と思ったり、先月まで普通の専業主婦だったママ友が、急にインスタにカメラマンが撮ったステキなプロフィール写真を上げて”スピリチュアルカウンセラー”と名乗り出したのを見て、起業していない自分だけが取り残されてしまうような焦りを感じるようなのです。

「起業」とは、「業(ビジネス)」を「起こす」ことです。
何かしらの新しいビジネスを起こした人たちの総称が「起業家」なのですが、上記のような方向から起業家に触れてしまうと、あたかも「起業家」という職業があるような錯覚を起こし、漠然と「起業家を目指す」ようになってしまうのです。

本来は、自分の特技やスキル・専門知識などを、対価を得て提供できるように構築することが「起業」なのですが、自分にこれといった特技やスキル・専門知識が無いのに「起業したい」人が少なからず存在します。
そのような方は、「自分の特技をビジネスにする」のではなく、「起業するために特技を習得」しようとします。

新しい知識や技術を学ぶことは、何歳になっても素晴らしいことだと思いますが、学ぶきっかけが、純粋な興味や知識欲に突き動かされたからなのか、起業のための手段として選んだからなのか、では、習熟度には大きな差が生まれるのではないかと思います。
そもそも、「起業しよう」と思い立ってから身に着けたスキルや資格で起業する人と、長年経験を積んできた特技や資格を武器に満を持して起業する人では、大きな差があるのは、誰にでもわかると思います。

「起業したいから」という理由で学び始めたとしても、中には、学んでいるうちにそれが本当に好きになり、「このスキルを極めて、周りに提供したい」と思うようになる人もいると思います。そうなったら、いったん「起業」は忘れて、そのスキルを極めることに没頭して欲しいと思います。
そのうえで起業をすれば、ビジネスもきっとうまく行くはずです。

華やかに見える”女性起業家”たちの中には、何らかの「スペシャリスト」として技術や知識を提供して対価を得ている人もいますが、ほとんど実業が無いのに”起業家”を名乗って「お茶会」「ランチ会」ばかり開いている人もいます。
実業の無い人は、ちょっと話せばすぐにわかります。「あの人は、何をして稼いでいるのかわからない」と思うような人も多いです。
そのような場では成功者のようにふるまっていても、実はこっそり深夜のコンビニでバイトしているような人も、けっこう多いのではないかと思います。

「起業家」という職業はありません。
何らかの職業・特技を極めた人が、それを使って新しくビジネスとして立ち上げるのが「起業」です。
起業したいなら、まずは「起業家」になることよりも、何かの技術や知識の「スペシャリスト」になることを目指してください。
スペシャリストになった上で、その技術や知識をお金に変えていく方法を構築することが、本当の「起業」だと思います。

ただの「スペシャリスト」では起業できない

「起業」を思い立ってから、スキルや資格取得を始める人は、何年も経験を積む必要があるものは時間が掛かり過ぎるので、実務経験が無くても一定期間講座を受講すれば取得できるような資格講座に向かいます。
その結果、必ずしも世間の需給バランスに則していない職種での起業が増えてしまったように感じます。

私の教室に集客相談に来られる起業家さんたちの職種は様々ですが、中でも突出して多いのがこのふたつです。

  • コーチング
  • 占い・スピリチュアル系

“脱サラ組”に人気のコーチング

「コーチング」と聞いても、「何それ?」と聞き返す人もまだまだ多いと思います。
美容室や外食行くような気軽さで「ちょっとコーチング受けてきます」と言っているのを聞いたことがある人は少ないと思います。
企業研修などでは取り入れられている所も多いと聞きますが、まだまだ一般にはメジャーとはいえない「コーチング」で起業しようとしている人が実はとても多いのです。

私の教室に来る方々の傾向を見ると、コーチングでの起業を目指す人は、脱サラした方、しようとしている方が多いです。
新卒からずっと会社員をやってきて、これといった特技や資格も無く脱サラを考えた時、NLPを代表とするコーチング系の資格なら、会社に勤めながらでも夜間や週末の講座に通えば取得できますし、開業資金もほとんど掛けずに始められます。

ひと昔前の脱サラといえば、コンビニや飲食店のFCオーナーになるとか、自分でお店を開くといったパターンが多かったと思いますが、資金やリスクを考えて、もっとスマートな”脱サラ起業”が注目されているのかもしれません。

そのような中、コーチングは「話す」ことが仕事のメインですから、会社員として社会生活を普通に送ってきた人にとっては、取得しやすく見える資格なのでしょう。
資格取得には、それなりの費用と期間が必要ですが、それも「起業するためにきっちりお金と時間をかけた」と納得するのにちょうど良い範囲なのだと思います。
NLPの資格を取得できるスクールは数多くあります。それだけ人気の資格なのでしょう。

その結果、BtoCのレベルでは、「コーチングを受けたい」人よりも、「コーチングをしたい」人の数がかなり多くなってしまっているように感じます。明らかに供給が需要を上回っています。
私の知る範囲では「コーチ」を名乗る人の中で、それだけできちんとビジネスが成り立っていると思える人は2~3人しかいません。

それなりの時間と費用がかかるコーチングの資格は「スペシャリスト」と言えるものですが、数が多すぎて、今からそれだけで収益が出るビジネスを構築するのはとても難しいと思います。

女性に人気の”スピ系”起業

私の教室に来る方の中でも、圧倒的に多いのが、占いやヒーリングなどのスピリチュアル系の職種の方です。特に女性が多いですが、たまに男性もいらっしゃいます。

こちらも、タロットカードなどのオラクルカードリーディングや、ホロスコープ・手相・姓名判断など占い系のスクール、レイキなどのヒーリング・スピリチュアル系のスクールが数多くあります。
習えばある程度できるようになりますし、特に女性はお客様の側として体験している人も多いので身近に感じるのか、起業したい女性には人気が高い職種です。

しかし、言うまでもないと思いますが、占いやカードリーディングができる人は世の中にはたくさんいて、占いだけで生活ができている人は、本当に少ないと思います。

占い師はコーチとは逆に誰でも知っているし、一般の人でも気軽に鑑定を受けに来てもらえる職種です。
しかし、マスコミで頻繁に取り上げられる有名な人気占い師が数多くいるなど、知名度の格差がとても大きい職種でもあります。
需要は無限に近いほどあるとは思いますが、お客様の行先は評判や知名度の高い人に偏ります。

占いやスピリチュアル系の技術や知識を持っている人も「スペシャリスト」ではありますが、今からマスコミに出ている有名占い師よりも知名度を上げるのは容易なことではありません。

ナンバー1かオンリー1を目指す

具体的な話は別の稿に譲りますが、集客の第1歩は「見込み客に自分を知ってもらう」ことです。
ですが、これだけ情報が溢れかえっている中で、仮に知ってもらう機会があったとしても、余程のことが無ければすぐに忘れられてしまいます。
一説には、人が受け取る情報量はこの10年で500倍以上になったとも言われています。
その中で、「コーチング始めました」「占い始めました」という自分の発信が誰かの目に留まったとしても、何か印象に残るものが無ければ、間違いなく忘れられてしまいます。
つまり、ただの「コーチング」や、ただの「占い師」では、起業してもまず収益にはならないということです。

では忘れられないためにはどうすれば良いのでしょう。

それは「〇〇コーチング始めました」「〇〇占い始めました」の「〇〇」の部分に簡単には忘れられないような圧倒的な価値観を乗せて発信することです。
圧倒的な価値観とは、極端に言ってしまえば「1番」か「他にはない」か、しかありません。

個人起業がまだ少なかった10年前なら、「1番」ではなく「10番」程度でもそこそこ目を引けたかもしれませんし、「他にない唯一」とまで行かなくても、「ちょっと珍しい」程度で興味を持ってもらえたかもしれません。
しかし、多様な個人起業家が溢れ、物凄い量の情報が溢れている今となっては、「1番」「唯一」ぐらいのインパクトが必要になっていると思います。

今、ちょうど東京オリンピックが開催中です。
メダルを取った選手の名前は何年か先でも憶えているかもしれませんが、余程特別なトピックでもない限り、10位になった選手の名前は憶えていられないと思います。
でも、世界で10番って、スゴいことですよね。
それでも、その選手に直接の関わりが無ければ、ほとんどの人は忘れてしまうと思います。
それが現実です。

とりあえず普通のコーチや占い師として起業して、経験を積みながら「1番」になれる部分、「唯一」になれる部分を探して行けば良いのでは?、と考える人もいると思いますが、それでは遅いのです。

既に世の中には、何人ものコーチや占い師が起業しています。
その人たちよりも、あなたを選んでくれるお客様が来ない限り、経験を積もうにも積む相手がそもそも現れません。
「経験年数」では、先に起業した人を上回ることは永久にできないのですから、最初から先輩同業者を超える何かを用意しておかないと、経験を積む前に廃業ということになってしまいます。

「1番」「唯一」は何でも構いません。
まずは自分の主観で「これだけは同業者には負けない」と思えるような物を書き出してみましょう。
具体的な数字が出せなくても構いません。
嘘はダメですが、多少盛るのは良いと思います。

例えば、ビジネスコーチングで起業する人なら、

「10年連続年間5億円を受注した元営業マンのビジネスコーチング」

など、コーチングのスキルそのもので「1番」「唯一」をうたえないなら、関連性のある実績で目を引く方法もあります。

また、ひとつのスキルで独自性を出せないなら、別のスキルと組み合わせて新しい職種を作ってしまう、という考え方もあります。

例えば、占いだけでは目新しさはありませんが、これも目新しくはない料理教室と組み合わせてみると、

「管理栄養士歴10年の占い師が教える開運料理教室」

など、他には無さそうなビジネスを作ることができるかもしれません。

いくら考えても、ただの「コーチ」、ただの「占い師」としか名乗れないなら、そのビジネスで起業して成功するのはかなり難しいと言わざるを得ません。

一番大切なのは「軸」と「マインド」

“起業家”という肩書(本来そんな物はありませんが)や、自由で充実したライフスタイルに憧れて起業を目指す人に足りない、とよく感じるのは、その人自身の「軸」や仕事(起業ではなく)に対するマインドです。

ビジネスを起こすということは、この社会の経済活動に参加する、ということです。
「自分の商品やサービスを必要としている人に提供し、その対価としてお金を貰う」という活動です。

だから、

  • 自分の商品やサービスが必要な人は誰なのか
  • 自分の商品やサービスをなぜ人に提供したいのか
  • 自分の商品やサービスにはどんな意味があるのか

社会の経済活動に参加する以上、このぐらいは考えておくべきではないでしょうか。
本来は、この3つの想いが強くなることで「起業への意欲」が沸き上がってくるものだと思います。
後付けになったとしても、この3つを土台としてビジネスモデルを構築しないと、軸がブレて「よくわからない」ビジネスになってしまいます。

資格を取った → さぁ、開業 → でも何をすれば良いのかわからないので「起業塾」に入ろう

というような発想の方が多く、実際「起業塾」「起業コンサル」に行った後で、私の教室にこられる方が少なくありません。
起業塾にも色々あって、きちんと自分の軸づくりやビジネスモデル構築を教えているところもありますが、そんなことはすっ飛ばして、SNSでの発信法やブログの書き方だけを教えるだけのところもあるようです。

SNSでの「発信方法」を習っても、自分の軸もコンセプト固まっていないままでは、発信する「中味」がありません。
「起業塾で言われた通りに発信しても、成果が全然出ない」と言って私の教室にやってくる人たちの多くが、軸もビジネスモデルも出来上がっていません。

自分の中から湧き上がる想いがあれば、起業塾で発信方法を習わなくても、自ら発信したくなるはずです。
発信テクニックなど知らなくても、自分の中のブレない想いをそのまま綴れば、人の心に届くはずです。

起業して「やりたいこと」を仕事にするだけで、誰もが「キラキラ女子」になれるわけではありません。
自分の想いを商品やサービスに乗せて提供し、喜んで対価を払っていただけるようなビジネスを構築してこそ、本当の「キラキラ起業女子」だと思います。

次回は起業「スタートアップ編」です。

音声版(stand.fm)

ほぼ同じ内容を、音声でも配信しています。

1.起業家という職業は無い

起業家という職業は無い【やってはいけない!こんなキラキラ女子起業1】 - 起業女子応援チャンネル | stand.fm
起業を目指す人はたくさんいますが、起業しても誰もが成功するわけではありません。 これまで多くの起業家さんのサポートをしてきた経験から、起業のためのアドバイスをお送りします。 #はじめまして #起業 #女性起業 #ひとり起業 #女性起業家 #...

2.ただのスペシャリストでは成功しない

ただのスペシャリストでは成功しない【やってはいけない!こんなキラキラ女子起業2】 - 起業女子応援チャンネル | stand.fm
「ただのスペシャリスト」では、起業して成功できません。 お客様に選ばれるための、他の同業者にはない「圧倒的価値観」を持ちましょう。 #女性起業 #脱サラ起業 #ひとり起業 #女性起業家 #起業家 #起業女子 #ママ起業 #占い師 #コーチン...

3.その起業マインドは本物ですか?

その起業マインドは本物ですか?【やってはいけない!こんなキラキラ女子起業3】 - 起業女子応援チャンネル | stand.fm
キラキラ女子起業家さんがよく口にする「やりたいこと・好きなことを仕事にする」という言葉。 でも、起業するためにちょっと学んだ資格や技術を、本当に心から「好き」と言えますか?「一生やり続けたい仕事です」と胸を張って言えますか? #女性起業 #...

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あおい@myoffice
あおい@myofficeパソコンが苦手なサロンオーナーや個人起業家さんのための記事を書いています。
神奈川県大和市中央林間で完全マンツーマンレッスンの「パソコン教室&サポート マイオフィス」を主宰。
広告業界・経営コンサル業界での経験を生かし、web・SNSなどのビジネス活用をサポート。オンラインだけでなく、チラシなど紙メディアの企画・制作も行っている。
日本おうちサロンマップ協会 事務局もつとめる。
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