【やってはいけない!こんなキラキラ女子起業3】価格設定とお金編

この数年、起業家向けのサービスやコンテンツのタイトルの中に「お金」という文字を見ることがとても増えてきていると感じます。
ビジネスとお金は切っても切れない関係ですから、起業家さんがお金に対する考え方をしっかり持つのは良いことだと思います。
ですが、意識しすぎたり、関係ないことを無理やりこじつけてお金のせいにしようとする風潮も感じられます。

今回は、起業家、とくに駆け出し起業家さんとお金にまつわることを書いてみようと思います。

前回までの記事もぜひ参考にしてください。

価格設定の考え方

駆け出し起業家さんのよくあるお悩みのひとつが、価格設定です。
私の教室に通ってきて、一緒にホームページを作っている人たちの中にも、提供するメニュー内容を決まっていても、それをいくらで提供するかが、なかなか決められない人が少なくありません。

「いくらなら、来てくれますかね?」と、よく聞かれるのですが、他人の言い値で価格を決めるのは違うと思います。
前回の記事で「プロならお客様目線で考えましょう」と言いましたが、価格の設定はまずは自分本位で決めないと、最初は良くても、長く続くビジネスにはなりにくいです。
もし、自分で決めた価格と世間の相場感がかけ離れてしまったとしたら、それはビジネスモデル自体が間違っている、ということだと思います。

「自分で決めろと言われても・・・」と思う人もいるでしょう。
そんな方のために、シンプルな考え方をご紹介します。

売上目標から計算する

まずは、毎月の売上目標を設定します。

「利益」ではなく「売上」目標ですから、家賃・光熱費や人件費など、固定費がかかる場合は、その分も上乗せして売り上げ目標を設定してください。

家庭環境や生活状況によって、月20万円の人も、月200万円の人もいると思います。
現実的な数字なのかどうかはひとまず置いておいて、まずはこの目標額をしっかり設定してみましょう。

月の売上目標が決まったら、その目標を達成するためには、1日いくら稼げば良いのかを計算してみてください。

たとえば、売上目標が月額20万円で、月20日働く予定なら、1日の売上目標は1万円ということになります。
月に10日働く人は、1日の目標は2万円です。

1日の目標額を、1日当たりの予定お客様数で割ります。
1日の目標額1万円で、1日ふたりのお客様が来る予定なら、ひとり当たり5,000円です。

もし、材料費などの原価がかかるサービスなら、その分を乗せた金額が、適正なサービス価格ということになります。

この5,000円という金額と、同じようなサービスを提供している同業者の価格に極端な差が無ければ、まずはこの価格でスタートして大丈夫だと思います。
自分で計算して、自分が納得の行く金額を設定することで、ストレスなく楽しんで仕事ができます。

もし、他の同業者はみんな1,000円程度の価格で提供しているのに、自分のサービスは5,000円という計算になったのなら、ここまで設定してきた

  • 月の売上目標額
  • 1日の売上目標額
  • 月の稼働日数
  • 1日の来店客数

の、いずれかを見直した方が良い、ということです。

見直しをしないまま、「みんな1,000円で提供しているから」という理由だけで、価格を1,000円に設定してしまうと、ビジネスは長続きしません。
固定費すら出せなくなってしまうかもしれませんし、適正な対価が得られない仕事を続けることはストレスでしかありません。

開業したばかりのうちは、お客様が来てくださるだけで嬉しいので、収益は二の次になってしまいがちです。
しかし、対価を伴わない労働は長続きしません。
「いくらなら来てくれる」かではなく、「いくらならストレスなく働けるのか」という観点で価格設定をしてください。

私自身の経験からも言えることですが、一度設定した価格を値上げするのは、結構大変です。自分の中での決断も必要ですし、事前周知も十分しておかないと、お客様に「聞いてない」など言われてトラブルにもなりかねません。
一方、値下げなら、仮にお客様がその場で初めて聞いたとしてもトラブルになることはまずないと思います。
ですから、「どうしてもお客様が来なければ、値下げしよう」というぐらいの気持ちを持って、きちんと納得の行く価格設定をしてください。

「モニター価格」はリピーターを作るため

「初回半額」「先着〇人1,000円引き」といった、新規のお客様限定のサービス価格を設定したり、クーポン系のサイトを利用している人も多いと思います。
コロナ禍で少なくはなりましたが、あちこちのイベントに出展してかなり安い「イベント価格」でサービスを提供し続けている人もよくいます。

新規のお客様に向けに、こうした割引サービスを作ること自体は良い事だと思いますが、問題なのが、低料金でサービスを受けてくれた新規のお客様に提供する「次のサービス」を用意していないことです。
「初回半額」「モニター価格」をうたって、SNSやイベント会場で新規のお客様を呼び続けることには積極的なのに、せっかく来てくれた新規のお客様をリピーターにするための準備をしていない人が多いのです。

「イベント出展時に来てくれたお客様にアフターフォローしてますか?」と聞くと、せいぜい「チラシを渡した」とか「インスタをフォローしてもらった」という程度で、次に正規価格でサービスを受けてもらうためのご案内をほとんどしていません。
それでは、モニター価格で利益も出ないサービスを提供し続ける意味がありません。

「モニター価格」「体験価格」が悪いとは言いませんが、一度安い金額でそのサービスを受けてしまったお客様にとって、正規の価格はとても高く感じてしまいます
だから、「モニター価格」でサービスを提供した新規のお客様がリピーターになってくれるには、お試しでサービス自体をよほど気に入ってもらうか、リピートすることでよほどのメリットを感じてもらうか、しかありません。
チラシやショップカードを渡して「また来てください」と言うだけでは、リピート率は限りなくゼロに近いと思います。

大手エステや健康食品のCMなどを見ると、初回の割引率がとても高いものや、無料のものさえ見掛けます。
でも、よく見ると、その後も通ったり、定期購入することが条件になっていることがほとんどです。
個人事業主が、リピートしてもらう戦略も立てないまま、むやみに「モニター価格」でサービスを提供するのは、自分の首を絞めるようなものだと、私は思います。

中には「とにかく1回来てくれれば、高額契約を取れる自信がある」という、営業力の高い人もいます。
そういう人は、「初回無料」「初回半額」でどんどん新規のお客様を集めればよいと思います。

でも、そこまで営業力に自信が無い方には、無条件での「初回無料」「初回半額」はおススメしません。

  • 回数券を買ってくれたら、初回無料
  • お友だちを紹介してくれたら、次回半額
  • SNSでシェアしてくれる人は3割引き

など、条件付きでのサービス価格メニューを考えた方が良いと思います。

言い方は悪いですが、一度安い価格に味を占めてしまったお客様が、倍の金額を払って再び同じサービスを受けるのにはかなり抵抗を感じると思います。
その抵抗感を、営業力で取っ払える自信が無いのなら、「初回半額」「初回無料」戦法はやめておいた方が良いと思います。

稼げないのは「お金のブロック」のせい?

最近「お金のブロック解除します」というような広告をよく見かけます。
子どもの頃の体験や潜在意識の中に、お金を持つことや欲しがることへの罪悪感や抵抗感があって、そのせいで稼げないのだそうです。
だから、そうした「お金のブロック」を解除すれば、気持ちよく稼げるようになる、といいます。

無意識の思い込みによって気持ちや行動が制限されることがあるのは、私も否定しません。
お金に関するの話題に「浅ましい」「ガツガツしている」などと眉を顰める人がいるのも事実です。

でも、そもそもお金を受け取ることに罪悪感を感じるような人が、起業を考えるでしょうか。
ビジネスを始める以上、多少なりともお金を受け取るつもりはあるはずです。

「抵抗なく受け取れる金額の上限」を筋反射テストで自覚して、「受け取れる上限額を上げましょう」という形式のブロック解除法もよくあります。
でもそれは、「受け取れるお金の上限」というよりも、「今の自分のスキルに対する評価額」という面が大きいのではないかと思います。
自己評価を上げることによって価格設定を上げることも、大きな意味では「お金のブロック解除」なのかもしれませんが、いずれにしても、稼げないのをお金のブロックのせいにするだけでは問題の根本解決にはならないと思います。

自己評価が上がり、自分の中の「お金のブロック」が解除されたとしても、お金を払ってくれるお客様がいなければ、稼げないままです。
お客様が増えないまま、自己評価だけを上げてしまうのも、現実とのミスマッチに苦しむ結果になるだけのようにも思います。

私が起業家さんとお話ししている時に感じるのは、このような「お金を受け取れないブロック」よりも、「お金を出せない」ブロックの方です。
まったく「出せない」わけではなくて、「出すべきところに出せない」人が多いと感じます。

まだこんなにネットが普及していない頃は、新しくお店を開いたりビジネスを始めたら、当然のように広告を出していました。
地域サービスであれば新聞折込やポスティング、駅前でのチラシ配りをしましたし、全国規模のサービスであれば、雑誌・新聞広告やテレビCMを流しました。
他に宣伝の方法が無かったからです。
インターネットが普及しはじめてからも、有料の広告出稿が、ネット上での集客の手段でした。

それが、SNSが普及し始めると一気に「無料で集客」がトレンドになってしまいました。
「お金を使わなくても、SNSを使えば集客できる」と信じられるようになり、広告宣伝にお金をかけたら「負け」とすら思われるようになってしまいました。

「お金をかけずに集客する」という呪文こそが、起業家最大の「お金のブロック」だと、私は思います。
「SNSを使った無料集客法を教える講座」にはお金を払って参加しているのに、集客活動には頑なにお金を掛けようとしない人がいるのが不思議でなりません。

お金を貰うためのビジネスの宣伝に、「お金を使えない」と考えてしまうのは、まさに「ブロック」だな、と感じます。

私が知る範囲では、

成功している起業家は、お金を掛けて広告を出しています。

どんな媒体を使うかはそれぞれですが、よほどの幸運が無い限りは、お金を掛けずにSNS投稿や無料ブログだけで成功している人はほとんどいないと思います。

だからと言って、むやみにお金を掛ければよい、というものでもありませんが、どこにどれだけお金を掛けるかという話は「広告戦略」「マーケティング」の領域になりますので、また後日詳しく書きたいと思います。

ともあれ、私自身が、約25年の個人事業主生活の中で得た、お金に関する一番の教訓は、

お金は出さなければ入ってこない

ということです。

「金は天下の回りもの」という言葉もあるように、お金の出入りがあってこそ、経済は健全に回ります。
必要なタイミングで正しくお金を使い、提供したサービスに見合った対価をきちんと受け取れるようになることが、個人起業家さんたちの健全なビジネスの在り方です。

「お金のブロック解除」をするなら、「受け取れないブロック」だけではなく、「出せないブロック」もしっかり解除してください。

音声版(stand.fm)

ほぼ同じ内容を、音声でも配信しています。

価格設定の考え方

初回割引価格について

稼げない理由はお金のブロック?

Profile

あおい@myoffice
あおい@myofficeパソコンが苦手なサロンオーナーや個人起業家さんのための記事を書いています。
神奈川県大和市中央林間で完全マンツーマンレッスンの「パソコン教室&サポート マイオフィス」を主宰。
広告業界・経営コンサル業界での経験を生かし、web・SNSなどのビジネス活用をサポート。オンラインだけでなく、チラシなど紙メディアの企画・制作も行っている。
日本おうちサロンマップ協会 事務局もつとめる。
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